木材は私たちの生活においてなくてはならないものであり、家具や建造物のような私たちにとってなじみの深いものには必ずと言っていいほど使われています。また、その種類は多種多様で全世界で6万種類以上あることが分かっています。同じ木材でもそれぞれの性格があるようで可変性、吸水性、硬度などの違いがあり、用途として得手不得手があります。今回は世界一といわれる圧倒的な硬度で活躍する【リグナムバイタ】という木材について紹介していきます。
世界一硬い木
「リグナムバイタ」は中米から南米北部に生息するハマビシ科ユソウボク属の広葉樹で、バハマの国木です。
名前の由来は、ラテン語で「生命の木」の意味を表す「lignum vite」からきており、学名は「Guaiacum officinale」といいます。また、和名では「グアヤック」や「アイアンウッド」とも呼ばれます。
樹高が3m、胸高直径が0.35mほどとサイズはいたって普通ですが、その硬さ・重さは世界一といわれています。こちらは木の比重(同じ容積の水を1とした時の木材の重さ)を現した表です。木材は比重が大きいほど硬く・重いとされています。
リグナムバイタ | 1.31 |
ケヤキ | 0.69 |
イチョウ | 0.55 |
私たちにとってなじみの深いケヤキやイチョウと比べても約2倍の比重をもっていますね。水に容易に沈んでしまうそうです。
用途
「リグナムバイタ」は、昔から様々な用途で利用されており、比較的小さな部品や器具などに使用されることが多いです。また、加工が難しく金属加工用の道具や技術が必要なため、高価な製品となることがほとんどです。
工芸品や宝飾品
ペンダント、イヤリング、ブレスレット、ネックレスなどに加工されます。
木目が美しく、加工することで独特の光沢を持たせることができるため、宝飾品の材料としては非常に魅力的な素材です。
海上用途
腐敗や摩耗に強く、高圧や重荷重に耐えることができるため、船舶用部品に使用されています。
スクリューシャフトのベアリングや滑車などに使用されています。
環境問題
様々な場面で活躍するリグナムバイタですが、現在は絶滅が危惧されています。
近年ではワシントン条約で「附属書Ⅱ」(現在は必ずしも絶滅のおそれはないが、取引を規制しなければ絶滅のおそれのあるもの)に振り分けられており、国際的に保護の対象となっているため、以前ほど市場にも出回らなくなってきているようです。
現在では、リグナムバイタの輸出入には輸出国の政府が発行する許可書が必要となっています。
まとめ
世界一硬い木「リグナムバイタ」は、その木質から様々な用途で利用されてきました。宝飾品というと宝石が一般的ですが、木材のネックレスなんて逆におしゃれでいいですよね。
しかし、環境問題により現在は保護の対象になっており、適切な管理や育成が求められています。
今後も、リグナムバイタを適切に利用し、持続可能な社会を実現するための取り組みが必要となるでしょう。